オーヴァーシーズコレクションにはトゥールビヨンや永久カレンダー、ムーンフェイズ表示付きレトログラード日付表示機構など、現在グリーン文字盤を備えたモデルには搭載されていない機構は多い。近い将来、それらが採用される可能性は十分にある。数年後が楽しみだ。
「オーヴァーシーズ・デュアルタイム」はデュアルタイムゾーン機能を搭載した腕時計だ。さらに第2時間帯の午前と午後を指し示すAM/PM表示も備えている。6時位置のサブダイアルは、ポインターデイト式の日付表示だ。「旅」の精神を体現したオーヴァーシーズらしい腕時計である。
「この特別な色調を出すために、5年の歳月が必要でした」
ヴァシュロン・コンスタンタンのスタイル・アンド・ヘリテージ ディレクター、クリスチャン・セルモニが新作のためのグリーンについて語る。
ヴァシュロン・コンスタンタンでスタイル・アンド・ヘリテージ ディレクターを務める。1959年、スイス・ジュウ渓谷にあるル・サンティエ生まれ。90年に営業管理マネージャーとしてヴァシュロン・コンスタンタンに入社し、92年に購買マネージャー、96年から製造部門のマネージャーを務めた。買収したHDGを改組したVCVJで自社製ムーブメントの開発プロジェクトを担当する。2001年には最終的にプロトタイプやユニークピースにゴーサインを出す統括責任者となり、10年にアーティスティック・ディレクターに就任。17年より現職。
リュディガー・ブーハー:ヴァシュロン・コンスタンタンは、一般的に文字盤の色に関してどのような戦略を採っているのでしょうか?
クリスチャン・セルモニ:クラシックな印象を与える腕時計には、通常はシルバーやグレーなど、淡い色を好んで用います。ブラック、場合によってはブルーを採用することもありますね。また、「トラディショナル」コレクションではグリーンを使用した例もあります。
2016年に第3世代の現行オーヴァーシーズが発表された時、私たちの目的は他のブランドの腕時計にはない、特別な印象を与えるブルーを生み出すことでした。そのために、デザイナー、文字盤メーカーと緊密な協力体制を構築したのです。私たちのブルーは、電気メッキ、カラーラッカー、そしてクリアラッカーの組み合わせから成ります。
この文字盤には、ふたつの要素を追求しました。ひとつは奥行き感、もうひとつは光の反射による色の変化です。こうして得られたブルーの色味は、オーヴァーシーズを代表する特徴となりました。
リュディガー・ブーハー:ヴァシュロン・コンスタンタンの文字盤のブルーは、色味がそれぞれのコレクションごとにやや異なります。グリーンもコレクションごとに変更するというルールはあるのでしょうか?
クリスチャン・セルモニ:確かにオーヴァーシーズの文字盤に採用されているグリーンは、トラディショナルに採用されているものとは異なります。ただ、それはほんのわずかです。トラディショナルのグリーンには、ほのかにグレーが混ざっています。現行モデルであるトラディショナル・トゥールビヨンからもそれは見て取れるでしょう。他方、オーヴァーシーズのグリーンはほぼ同じです。ですが厳密にルールを定めてはおりません。それぞれのコレクションにふさわしいカラーを見つけようとしているのです。
グリーン文字盤の腕時計はすでにさまざまな種類のものが市場で展開されています。私たちは格段にエレガントなグリーンを探していたのです。ダークグリーンやブリティッシュレーシンググリーンは異なると思い選びませんでした。オーヴァーシーズに用いられているグリーンは、何層にも重ねたラッカーをさらにクリアラッカーで覆ったものです。この技法を用いることで特別な深みを生み出しました。また、このような技法のため、塗膜の下にあるサンバースト模様を見ることができるのです。この特別な色味を実現するために、私たちは開発に合計で約5年も費やしたのです。
「オーヴァーシーズ・オートマティック」。直径35mmとサイズの小さなモデル。ブリリアントカットが施された、90個のダイヤモンドがセッティングされたベゼルが特徴的だ。見返しリングは備えてはいない。なお、このモデルに搭載されているムーブメントCal.1088/1のローターにも方位図はあしらわれている。
リュディガー・ブーハー:どのようにしてカラーを最終的に決定したのでしょうか?
クリスチャン・セルモニ:多数の採用候補の色を、パントーンの色見本や色校正用モニター上でフォトショップを用いて検討しました。次に、ある程度絞ることができたら、実際にその色を用いたプロトタイプを製作します。こうすることで色の深みを正確に把握することができ、最適な色合いを最終的に決定することができるのです。
リュディガー・ブーハー:ピンクゴールド製のケースに合わせて最終的な色を選んだのでしょうね。ホワイトゴールドやチタンなど、他のケースカラーとの比較テストもされたのですか?
クリスチャン・セルモニ:最適な色味を決めるテストで、文字盤のグリーンがピンクゴールド製のケースとどれだけ調和するか検証しました。しかし、仮にこのグリーン文字盤に別の素材のケースを組み合わせたとしても、この色調を変更することはありません。すでにブルーの文字盤を備えたモデルをオーヴァーシーズでは発表しています。このモデルには、ホワイトゴールドにピンクゴールドとケースの素材が異なるバリエーションがありますが、文字盤に採用されたブルーの色調は変更してはいないのです。
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